トランスジェンダーの学生生活には悩みがつきものだと思いますが、現在31歳のMightyがどのように学生生活を送ってきたのか幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、就職とライフステージごとに振り返ってみたいと思います。
これから就職や進学を考えているお子さんや保護者の皆様、学校関係者の方々の参考になれば幸いです。
トランスジェンダーの進学ー幼稚園
幼稚園児の頃はそこまでまだ自我がなかったようで、与えられた服を着て何の違和感もなく生活を送っていたようです。
GIDのカウンセリングを進めていく最中にひとつだけ親から聞いたエピソードがありまして、男の子のおトイレを毎回覗いてたらしいんですよね。
精神科の先生いわく、トランスジェンダーのお子さんにはよくある話だそうでした。
なんでちんちんないのかなって思ったりはしてたのかしてなかったのか遥か昔のことなので記憶からは遠のいているけれど、もしかしたら思っていたのかもしれません。
トランスジェンダーの進学ー小学校
ぼくが通っていた小学校は私服だったので、6年間一切スカートを履くこともなく通いました。
当時の記憶としましては、Mightyという名の如く、この頃からマイ君と呼ばれていたこと、サッカーをはじめたので周囲には男の子ばっかりだったこと、初見で女の子と言われることはまずなかったことなどが挙げられます。
きっと普通の悩み方と少し違うと思うのですが、どうして自分は女の子じゃないんだろうと思っていました。
すでに自分が男の子だという自覚があったということですね。
トランスジェンダーの進学ー中学校
だいたいどのお子さんも、この辺りから悩んでくるのではないでしょうか。例に漏れず、制服でスカートを履かねばなりませんでした。
一応、採寸の時に母が学校側に掛け合ってくれたのですが今から20年前ではすんなりOKとはならず仕方なくスカートを履くことになりました。
入学式ではみんなに笑われたことを覚えています。
だけど初めてスカートを履いたのでなんだかまんざらでもない気持ちになったことも覚えています。
一度履けば、履けるもの。
まあ学校に着けば、スカートはロッカーに直して万年体操服だったんですがね。笑
トランスジェンダーの進学ー高校
スポーツ推薦で高校に入学したんですが、同じような人が何人もいました。
「メンズ」として市民権を得ていたので、とても生きやすかったです。
恋愛もしました。楽しかった。
いろんな事情が重なって転校することになったのですが、この時からSRSを考えはじめます。
トランスジェンダーの進学ー2つ目の高校
転校する時の面談で、男子学生として通いたいこと、通称名の学生証がほしいことなどをカミングアウトしました。
幸い定時制・通信制の学校でいろんな背景を抱えている生徒が多い学校だったのですんなりOKが出ました。
はじめての男子学生としての学生証をもらったときは、とてもうれしかったです。
学校生活でのカミングアウトは、聞かれない限りは自らは言うことはありませんでした。
学年があるようでないような学校だったので、トランスジェンダーの友人もできたり、充実した学校生活を送ることができました。
在学途中からホルモン注射を始めたので「あれ?声変わった?」と言われることが若干しんどかった時期もあったりしましたが、みんなやさしいお友達ばっかりだったので大して困ることなく卒業を迎えることができました。
ちなみに高校は20歳で卒業しました。
トランスジェンダーの就職ーはじめての就職
高校卒業時、就職しようと思っていたのですが、それまで続けていたバイトの居心地も良かったのでそのままアルバイトを続けることにしました。
が、やっぱり就職しなあかんよな!と急に思い立ち、GW明けから就職活動を始めました。
20歳の誕生日の時に看護師になろうと決めたので、とりあえず病院で働こうか〜と思い、病院の看護助手に応募。
履歴書の備考欄に「性同一性障害のため、男性として勤務を希望します」と記入しました。
書類選考に通り、面接の際に看護部長さんと事務長さんからその点について質問がありました。
主に更衣室や誰にまでカミングアウトするか、といった内容です。
誰にもカミングアウトをしないということを伝え、「困りごとが出てきたらその都度、相談させてもらえると助かります」と話したところ当日中に内定をいただきました。
入職してからは特に困りごともありませんでした。
唯一言うなら健康診断ですが、こちらは自費で外部で受けたのでセーフ。
ここで働いた期間はノンカム生活だったので自分のトランス生活にとって大きな大きな第一歩でした。
一切アウティングをされなかったのですが、それは当たり前のことではなく、ただただ感謝だと今になって思います。
本当に本当に心から感謝しています。
トランスジェンダーの進学ー看護大学
さて、病院で働いたのちに看護大学に進学したわけですが、ここでの記憶はもう本当に思い出すのがつらい。。。苦笑
詳しくはアウティングの記事にもありますが、ぼくがトランスジェンダーであることを知っている先生が複数の先生方に情報共有を行っていたことを知ってからは、かなりしんどかったです。
入学時の学生証や制服等はもう改名も体の移行(ホルモンのみ)も済んでいたので特に問題ありませんでしたが、この時代に悩んだことは”アウティングによって誰がどこまで自分のことを知っているかわからないことによる恐怖”と”元女子であることを知られてしまうと相手に迎合してしまう自分”でした。
もちろんその先生がトランスジェンダーだと知っていたことで助けてくださったこともたくさんあるのですが、今からもう一度大学入学前からやり直せるとなった場合、願書にはトランスジェンダーであることや変更前の性別は書かないと思います。
当時パス度には自信があったので、絶対に4年間誰にも知られずにやり抜き通せる自信があった。
下手に知られてしまったことで、カミングアウトを促されているような気になってしまってしんどくなってしまいました。
それまでに十分男性として生活できていたので、いきなりトランスジェンダーとして生きるように言われている気になってしまってかなーりしんどかったです。
要は、人の目を気にしすぎてたってことです、ハイ。
トランスジェンダーの就職ー放課後等デイサービス(非常勤)
大学を中退したあとは、放課後等デイサービスで非常勤で働いていました。
このときはもう大学での苦い経験があったので、全くカミングアウトとかはしませんでした。
ありがたいことに採用してくださったのですが、ここでも特に困ることはなかったです。
いや、子どもたちに股間を触られるのは困りました。
ボクサーパンツの間に忍ばせたり、色々と工夫したりもしましたが、最終面倒臭くなってしまってやめましたw
ただただ毎日お仕事は楽しかった思い出です。
トランスジェンダーの就職ー障害者雇用枠での就職
その後、難病を経験し少々ブランクを挟んで障害者雇用枠での就職を経験しましたが、その時期にはもう性別で悩むことはなかったです。
戸籍上も男性になったので、極々普通に男性として働いていました。
「あなたは女性ですか?男性ですか?」と言われるようなことも20代半ばを過ぎてからは無くなりましたし、ずいぶんと生きやすくなりました。
しんどいこともあったけれど、理解ある方に恵まれた時期があったからこその今だと思います。
きっとこれってどんな問題でもおんなじで、環境を変えることによって全てがガラッと変わる時期が必ずあります。
もうやってられるかー!って思ったら、無理して我慢をせずに、即座に環境を変えてみることもおすすめしたいです。
ぼくですか?
わりとさらっと環境を変えます。笑